<スポーツバイク言いたい放題>

DAYTONA & SpeedTriple

91年に復活した名門トライアンフが、短期間でラインナップを充実させるために取った方法は
エンジンとフレームを共通化し、外装と味付けを変える事によってモデルバリエーションを増やす 「モジュラーコンセプト」。
共通のボアに2種類のストローク、3気筒と4気筒、の組み合わせで750、900、1000、1200の4つの排気量を構築。
フレームはツアラーからスーパースポーツまで、なんと全て共通!
それでも確実に各ジャンルで高評価を得、中でも3気筒エンジンの個性が世界中にファンを増やす事となった。

91年型 DAYTONA1000 
復活後第一弾は3気筒900ccの「トライデント」。

カワサキのエンジンを参考にしたといわれるサイドカムチェーンエンジンと
一本の極太パイプがエンジンの上を通るモノバックボーンフレーム。
その後に出てきた全てのモデルがこのトライデントをベースにして作られた。

見た目は田舎臭いけど、各誌で3気筒エンジンの味わいが絶賛されてたからどんなものなのか大いに興味があった。
フルカウルのスポーツバージョンがデイトナ。
排気量は750と1000の2本立て。

この時点ではまだ、フルカウルとダブルヘッドライトっていうだけで、他には特にスポーツを感じさせる要素は少ない。
1000ccは92年いっぱいで廃止。
その後排気量は900と1200の2本立てになった。
外観だけでなく、サス、マフラー、ブレーキなど、車体もスポーツ向けになった。
この時点でRタイヤは160とまだ細身だったけど、後に180にサイズアップ。
1200の方は当時世界最速だったZZR1100と同じ147ps。 ただしこれはかなりサバを読んでいたらしい。
メーターも320km/hスケールと、対抗意識アリアリ。

これが登場してから自分のトライアンフに対する興味は急激に増していった。
94年型 DAYTONA SuperV
デイトナ900のホットバージョンがこのスーパーV。
テールカウルに黒いラインが入るのが目印。
コスワースチューンにより98ps→115psにアップしたエンジン、6potキャリパー、カーボンフェンダー、
カーボン(を巻いている)マフラー、など。
乾燥重量はカタログ上では211kgとなっているが本国向けの内部資料では228kgとなっている。
17kgもサバを読んでいるわけだ。
外観は古臭いけど、クラシックレーサーレプリカとでも呼びたくなるデザインは結構好き。
デイトナのネイキッドバージョン、スピードトリプル。
各部ブラックアウトと低いハンドルを持つネイキッドスタイルは「ブリティッシュカフェレーサー」とでも呼びたい。

ある時自分は突然コイツの魔力にハマり、新車で買って大変気に入っていたXJR1200を1シーズンで手放し、
スピードトリプルの2年落ちの新車を手に入れる事になる。

ミッションは他が全て6速のところ、あえて5速。
乾燥重量はカタログ上では209kgだが 内部資料では216kg。 重心が高いせいか216kgすら疑いたくなるほど重かった。
なんともゴツイエンジン。 ドリュドリュした味わいの深いフィーリングと厚いトルクが特徴。

初期のトライアンフは過剰品質とも言える丈夫な造りが特徴で、その代わり全てのパーツがゴツくて重たかった。
組み立て精度の高さは日本のメーカーの基準をも超えるもので、生産されたパーツは当然全て誤差を抱えているのだが
ピストンなどは全て重量を測って、近いもの同士を組み合わせるというこだわりようだった。 
97年型 DAYTONA T595
トライアンフ初のアルミフレームモデル。 排気量は885ccから955ccへ。
新設計のエンジン+インジェクション、初のアルミフレームで軽量、ハイパワーを得て、完全なSSになった。
130ps、198kg。

CBR900RRやDUCATI916に対抗できる性能を持ちながら、性能一辺倒ではないキャラクターと、凝ったデザインを持つ。
曲線を多様した外装、2本のパイプを合わせたかのようなフレーム、削り出し風のフロントフォーク、片持ちサスなど、
3気筒エンジンと共に個性を主張。
ただしこの年式からハイパワーと引き換えに 3気筒特有のトルク感は薄れていった。
ネイキッドバージョンのスピードトリプルもフルモデルチェンジ。 T509と呼ばれる。
こちらは885ccのままだが10psアップの108ps。 196kg。
デイトナ以上にインパクトの強いギョロ目2灯にバーハンドル。
カフェレーサーからストリートファイターへと転身。
99年型 DAYTONA 955@
マイナーチェンジ。名称を T595 から 955i に変更。 600ccと間違われる事が多かったのだろう。
名称が変わったとはいえ、内容的には極簡単なマイナーチェンジ。
サスとインジェクションのセッティング変更、エアクリーナーボックス形状変更、バッテリーをMF化など。
他に公表されていない部分で細かい変更があるが、主にコストダウンが目的の変更が多い。
しかし日本での定価は20万以上も上がった。 そのため99〜01のデイトナは滅多に見かけない。
スピードトリプルも955ccになった。
00年、映画「ミッションインポッシブルU」にデイトナとスピードトリプルが登場
トムクルーズが乗ってジャックナイフターンなど派手なスタントを決めたスピードトリプルが大人気を得た。
しかし敵が乗っていた赤いバイクがデイトナであったことは あまり皆さんの記憶に残っていないようだ...
デイトナだって頑張っていたのに...

このトムのスピードトリプルは 状況に応じてアクセルが左になったり、ダートでは瞬時にオフロードタイヤになったりという
夢のようなバイクで、私も是非欲しい一台だ。
マフラーが大柄な楕円形状の黒塗装から、スリムな真円のステンレスに変更。
カラーもブルーやシルバーの落ち着いたものになり、車名デカールも飾り気の無いシンプルなものに変更。
02年型 DAYTONA 955@
01年秋にフレーム以外を一新するモデルチェンジ。
曲線を多用した個性的なデザインから、最近ハヤリの直線基調のデザインとなった。
149ps、188kg。これは先代に比べて19psアップ、10kgダウンという大幅なスペックアップ。
最も個性的なフレームは変更せず。ただしもう一つの個性だった片持ちスイングアームを廃止し、
極オーソドックスな両持ちになった。補強すら入っていないシンプルなもので、軽量化に大きく貢献。

かっこいー!欲しいー! と思ったが、その気持ちは徐々に薄れていった。
かっこいいのは間違いないのだが、外観が日本車を意識しすぎてて、あまりに個性を失ったと感じたからだ。
デイトナの変更に伴ってスピードトリプルも同様な変更を受ける。
エンジンは120psまで上がり、マイナス7kgの189kg。(デイトナより1kg重い)
こちらは片持ちスイングアームを継続した。

バーハンドルのネイキッドに段付きシートは見た目的にバランスが良くない。
外装は今までどおりでよかったと思う。
03年にマイナーチェンジ、片持ちスイングアームに戻った。
それにともなって190から180になっていたRタイヤは再び190に戻った。

やはり片持ちの方が重いようで、乾燥重量は3kg増加の191kg。
重たいシステムに戻るというのは退化だが、普通になってしまったスイングアームは評判が悪かったのだろう。
絶対性能では結局日本車には勝てないのだから、個性を優先するのは正解だと思う。
04年型 DAYTONA 955@
フロントマスクを変更。 完全なる分離式のダブルヘッドライトになった。
これも日本車の流行をそのまま取り入れたのだろうが、全く無個性でつまらない顔だ。
性能的には年々進化する日本車にすっかり置いていかれ、かといって別路線で大人のスーパースポーツを意識させるでもなく
顔だけは子供っぽいハヤリ顔になってしまっているから、どっちつかずで どんな層に乗って欲しいのかがわからない。

この年式はまず見ることは無い。 ほとんど売れていないんだろうね。
進化が止まってしまったデイトナに対して、スピードトリプルは絶好調で、
05年には1050ccに排気量を拡大し130ps。 重量は変わらず189kg。
テール周りを極端に短くした個性的な外観になった。
足回りもトライアンフ初の倒立フォーク、ラジアルマウントキャリパーを装備。
寸詰まりのチョロQのようなデザインはビューエルを意識しているとも思える。
アップマフラーの処理は少々野暮ったいけど、片持ちサスが強調されているあたりはイイ。

今までポップな色が多かったトライアンフだが、06年に初めて白を採用。
モーターショウ会場でこの白を見たときにクラっと来た。 かっこいい。 意のままに振り回せそうなコンパクトさもイイ。

日本車を意識しすぎだったトライアンフの中で、数少ない個性派だったスピードトリプルは
自らの個性を上手く強調して独自の存在になった。