<スポーツバイク言いたい放題>
YZF−R1

パワーウェイトレシオナンバーワンとして登場したYZF1000Rサンダーエースのわずか2年後に
150ps + 177kg というスペックとインパクトある外観で度肝を抜いたのがYZF−R1。

YZF−R1 初期型(98年)
今でこそ誰もが認める、トレンドを生み出したカッコイイ顔だが、はじめて見た時には、「なんちゅー顔だ!?」と思った。
野生動物の様でもあり、研ナオコの様でもあり、ギョロ目のとんでもない顔に見えた。
それだけチャレンジ要素の多い前例の無いデザインだったわけだ。

実車をはじめてみた時は、この顔よりも、写真では分かりにくいテールカウルの立体的で美しいラインに魅せられた。
ヨーロッパでもR1の評価は高く、「イタリア車の美しさに対抗しうる唯一の日本車」と評されたらしい。

YZF−R1の驚異のスペックは実はひたすら馬力を追求した結果じゃなかった。
R1はサーキットじゃなく一般道でのスポーツに重点を置いて開発されたため、
フィーリングを重視した、スーパースポーツとしてはロングストロークなエンジンだった。
それでも最強馬力をたたき出したのだからすごい。

自分が一番びっくりしたのが、このエンジン回りの凝縮感だった。
フレームにエンジンを積んだのではなくフレームがエンジンを包み込んでいる。フレームがエンジンの形に沿ってよけてる。
極端に前後長の短いエンジンと、それによって実現した長いスイングアーム。これも後に他社が追従した。
純正なのにカーボン!のマフラーも驚きだった。

スクリーンが極端に短い。これも最高速優先ではない証拠。一般道で視界をさえぎらない設計なわけ。

シフトロッドがフレームを貫通する...この造りこみにはため息が出る。

初期型R1に乗った時に感動したのは、実はブレーキだった。 強力で扱いやすい設定は自分の理想に近かった。

R1の登場によってCBR900RRの進化計画は一気に前倒しになったという話もある。
R1はコンセプト、デザイン、色んな意味で他社に大きな影響を与えた。
YZF−R1 U型(00年)
R1はあれだけカッコイイんだから、モデルチェンジは大変だろうなと思った。
どこをどう変えてもあれ以上は良くならないだろうと。

でも00年に登場した2型には「やられた〜」って思った。 最高の更に上があることを見せつけられた。
R1は自らを超えた。

歴代R1の中で顔は00年型が一番ハンサムだと思う。

一番の驚きはこの目ジリのカウル幅が極端に狭いこと。
こ、これはスゴイ。ギリギリのセクシーさだ。
当然、製造工程で破損によるロスも出やすいだろうし、量産の限界に挑戦しているといっていい。
どうですか、この鋭い目つき。
初期型でも十分目が大きいベッピンさんだったが、更に切れ長になった目には色気さえ感じる。

テールカウルも よりシャープになり、そっけなかったテールランプもちょっとだけおしゃれになった。
マフラーはカーボンからチタンに変更。
250箇所とも言われる変更点だが、外からはそれが感じ取りにくくなっている。
見た目には外装をちょっと変えたくらいにしか見えないのだ。
それがまたニクい。
YZF−R1 V型(02年)
R1に対しては賞賛の言葉しか出てこない。 変わってもやっぱりかっこいい。
ラジエターの熱を逃がすダクト部分を、大胆にカットしてしまったデザインは、
今までのカウルの概念を変えてしまうほどのインパクト。
防風と整流の点から見れば、レーサーでは決して採用されないデザインだ。
R1がレーサーではなくストリートマシンであることの証明。
00型で絶賛した目じりの狭さは少し影を潜め、目つきの鋭さも少々おとなしくなった。
それによってどことなく無表情な冷たい顔つきになった。
直線基調のデザインやカラーには似合っていて、どこか上品な雰囲気すら漂わす。

フレーム変更によりハンドル切れ角はDUCATI並に少なくなって取り回し性はとても悪い。
従来型は直線と曲線が上手くミックスされていたけど、今回は特にテール回りに大胆な直線を使ってきた。
この直線基調のデザインに冷たいシルバーのカラーが良く合ってる。
美しい曲線という言葉は良く聞くけど、今回のR1は「美しい直線」という言葉が似合うと思う。

新たにインジェクションを採用。 スペック的には2psアップと1kgダウン。
おそらくもっと大幅なスペックアップが出来たはずなのにそれを避けたのは、不必要な争いに神経を注ぐのではなく、
「R1がR1であるために」という部分に時間とコストをかけた結果であると思う。
そしてこれは同時にヤマハのR1に対する自信の表れと言える。

このモデルチェンジで再認識したのはヤマハのR1に対する頑固なまでのキープコンセプトだった。
R1はヤマハの誇りであるだけでなく、日本が世界に誇っていい一台だと思う。
これほど純粋なバイクが日本のメーカーから生まれたことを、同じ日本人として単純にうれしく思う。
YZF−R1 W型(04年)
ついにエンジンを完全新設計。172馬力。なんと20馬力アップ。
もともと98年の初期型R1はフィーリングを重視した、SSとしてはロングストロークのエンジンだった。
それが今回はショートストローク化されたことによって大幅パワーアップとなったわけ。
重量は2kg軽量化されて172kg。ついにパワーウェイトレシオ「1」

04のR−1デザインは下品な方向にシフトすると予想していたのが、その予想は外れた。 相変わらず洗練されてる。
新規性を出しつつも R−1らしさをうまく継承してる。 ヤマハにはやられっぱなしだ。とにかくウマいわ。
フレームはデルタボックスVの次だからWになるのかと思ったら、デルタボックスVだという。
これは5という意味ではなく、Victoryなのだそうだ。なんか名前はかっこ悪いな。
仕様変更のたびにUとかVとか名前は変えなくてもいいと思う。

今回のフレームは車体のスリム化のために、シリンダーヘッドの横を囲むのではなく上を通る。
ZX−10Rも同じく上を通ってるんだけどフレームがかなり湾曲してエンジンを避けているのに対して、
R1の場合はエンジンを前傾させることによってこれを実現してる。

センターアップマフラーは通常のものよりもスペースに制約を受けるから、横に広がったりしてボテッとなってしまうようだ。
それはDUCATI999、CBR600RR&1000RRを見るとよくわかる。
しかしR−1はスマートに処理されて、テールカウルに違和感無く溶け込んでる。 さすがヤマハ。

ライバル各車を並べて見比べるとやっぱりR1は飛びぬけて凝った造形をしてる。
1本1本のライン、細かいパーツの1つ1つに至るまで丁寧にデザインされていると思うわけ。
98年の初期型登場以来、一貫していたシャープさがちょっと薄れて有機的なデザインになった。
プロジェクターライトが目、ラムエアダクトがエラ、ホオジロザメのように見える。

ヘッドライトのデザインは最近の四輪車のトレンドを取り入れている感じ。スバル レガシィに似ている。
プロジェクターライトが埋め込まれたことによって表情が生まれ、ちょっとかわいらしい感じになった。

このスイングアームの美しさを見てください。
これは従来のような補強材を溶接する方法ではなく、ダイキャスト技術により可能になったもの。
キレイだなぁ...。
YZF−R1 W型後期(06年)
06年型は見た目にほとんど変わってない。
吸排気効率見直しで3psアップの175ps。 173kg。
大掛かりな変更を避けて、フレームの肉厚変更、スイングアーム延長、ディスク径拡大など地道な改良。
2年毎に大きく変わる早すぎるモデルチェンジサイクルを、もうそろそろヤメようよっていう提案か?

一番スパルタンだったR1も、いつの間にか足つきがすごく良くて、ポジションも楽になってた。
YZF−R1SP
スリッパークラッチ、前後オーリンスサスペンション、マルケジーニアルミ鍛造ホイールを装備した特別仕様車。
何故か標準より1kg重い174kg。
150万くらいだったかな? 豪華装備だから結構いい値段。
YZF−R1 X型(07年)
おっとビックリ。ここで全面的なモデルチェンジをしてくるとは。 06年型はツナギだったのか。
R1はモデルチェンジイヤーをGSX−Rと同じ奇数年にしたわけだ。

またまたカッコ良くなったなぁ。 徐々に下品さが出てきた。 178ps 177kg。
目が大きくなって、エアインテークがライトに食い込む感じになって獰猛な感じが出てきた。
サイドパネルがR6みたいに立体的なデザインになった。 躍動感があるし素晴らしくカッコいい。

騒音対策のためにマフラーが大きくなったせいで、テールカウルがえぐられて、マフラーがちょっと浮いてる。
前年までが、センターアップを採用するモデルの中でダントツに自然でキレイな後姿だっただけにちょっと残念。
ビックニュースは、84年のFZ750以来ヤマハの伝統だった5バルブを捨てて、ついに4バルブになった事。
正直5バルブのメリットには疑問があった。 複雑になるしメカロスが増えるから、効果は相殺ではないかと。
ヤマハも恐らく悩んでいただろうけど、MotoGPでロッシが4バルブを選んだ事で5バルブはトドメをさされたようだ。
4バルブ化は時間の問題と思ってたけど、予想よりも早かったな。 もう2年くらい5バルブで引っ張ると思ってた。

もう一つのニュースは量産車初の可変エアファンネル。
エアボックスの中で吸気のためのラッパが上がったり下がったりして、吸気通路の長さが変わるってカラクリ。
少量生産車ではMVアグスタF4が先にやってるから、それほどビックリ装備では無いけど。
スイングアームがすごいゴツくなった。 迫力があってカッコイイ。

メーターは余計な線が増えてちょっと子供っぽくなった。
ラジアルマウントでは初の6potキャリパー。 でもブレーキパッドは4枚っていう変則的な構成。

とまぁ、ニューメカ満載の今回のR−1なのです。
初期型からデザインイメージを変えないで、でも確実に新しくなっていて、そしてどんどんカッコよくなっていく。
こんなモデルって他にあるだろうか。
R−1は初期型登場以来、ずーっと変わらず 美しいスポーツバイクの日本代表であり続けていると思うのです。