<スポーツバイク言いたい放題>

RGV250γ

レーサーレプリカブームの火付け役だったRG250γも86年のTZR、87年のNSRの登場ですっかり置いていかれた。
レース界にV4エンジンで復帰したのに合わせて、RG250γもV型2気筒になって巻き返しを図る。

88年型 RGV−250γ (VJ21A)
RGV250γの登場はなかなか衝撃的なものがあった。
当時GPレーサーはカウルの先端がフロントホイールの中心より前に出てはいけないというレギュレーションがあったが、
それが改正されて、5cmだったかな?前に出てもいいことになった。
それによってカウルは前方に伸び、スクリーンに向かって風がスムーズに流れる斜面になった。
これがいわゆる「スラントノーズ」。
Vγはそのレギュレーション変更を他社に先駆けていち早く市販車に取り入れたため、
TZRにもNSRにも見られない、独特な先進の顔つきになった。
ベタッとつぶれたアッパーカウルと、その斜面に綺麗に沿ったヘッドライト。
スクリーンは低い。異常に低い。どんなに伏せても頭が全然隠れない。
こんな顔は今まで見たことがなく、ドキドキするほどセクシーだった。
低く鋭い印象の外装に対してアンバランスなウサギの耳みたいなジャバラステーを持つミラーも妙にかわいらしくて好き。
リヤタイヤの前スレスレでとぐろを巻き、天へと跳ね上がるマフラーを見よ!かっ...かっこいい...。
このブラックのカラーリングは、当時全日本で2年連続チャンピオンを取った辻本聡のスポンサー
(ヒゲそりのメーカー)shick ADVANTAGEカラーをイメージしたもの。
後に限定車で本当のshickカラーも発売された。
こちらは限定のペプシカラー。
世界グランプリで頭角を現し始めたケビンシュワンツのスポンサーカラー。
ネイキッドバージョンのWOLF。
これがまたかっこいい。無骨でスパルタンなイメージ。
カウルを取り去ったため あらわになった極太フレーム、ラウンドラジエター。
ちなみにラウンドラジエターはレーサーレプリカ特有の装備だから、普通はカウルの中に隠れているものだ。
だからラウンドラジエターがあらわになってるバイクは多分これだけ。
レーシーさと無骨なメカメカしさ。
退廃的な近未来、例えば核戦争後の生き残り達が乗ってそうなイメージがある。
あるいはエイリアンのあばら骨のあたりのイメージもある。
こういう雰囲気のバイクはそう無い。スズキにしか出来ない荒っぽさと下品さ。
20代前半の頃、限定解除してGSX−R1100を買おうか、免許をやめてWOLFに乗ろうかと真剣に迷った。
それほど大好きなバイクだ。
90年型 RGV−250γ (VJ22A)
モデルチェンジ。
右2本だしマフラーが特徴。足回りも倒立フォークで強化。
リヤのへの字スイングアームはチャンバーを避けるための装備で、同年のNSRも採用した。
WGP500レーサーはシートカウルから2本、右に2本マフラーがでているから、500のイメージが強い。

顔はライトとナックルガード部がほぼ平面になっているのがこの頃のスズキの特徴。
右2本だしマフラーはとっても好きなんだけど、カチ上げ左右出しも好きだったし、
個人的にはやはり88型の方が好きだな。
この頃のGSX−R400、1100に共通する角目2灯のテールランプがカッコイイ。
テールカウルのスリットはサメのエラっぽい。
ミラーはとても小さい。

メーターはこの頃のスズキが好んで採用していたハンドルマウント。
ステアリングのレスポンスに悪影響を与えると思うのだけど、
適度な重さをハンドルに与えることによって落ち着いたハンドリングを得られるという理論だったらしい。
93年にケビンシュワンツがWGP500世界チャンピオンになったのを記念してラッキーストライクカラーが登場。
この年からスイングアームがオーソドックスな補強入りタイプに変わった。
への字の方が商品価値があっていいと思うんだけど...。
でもこのスイングアーム、よくみるとチャンバー部分を避けるようにメインパイプの一部に切りかきが入っている。

この年式のガンマのカタログの表紙はメットをかぶったケビンシュワンツのドアップ。
キャッチコピーは 「好きなバイクに乗ろう」
レーサーレプリカ人気は下降の一途だけど、好きな人はネイキッドブームなんか気にしないで、レプリカに乗ろうよ、
ってな具合かな? レプリカがマイナーであることを自ら公言しているかのような開き直りの言葉に見えた。

ちなみに!
この新しいラッキーストライクカラーのデザインは、車体後半部の赤丸の中に「LUCKY STRIKE」の文字が無い。
これは、ライダーのシュワンツがまたがった時に、彼のツナギの太もも部で書かれている文字によって
はじめてロゴが完成するという凝ったものだった。
96年型 RGV−γ250SP (VJ23A)
2ストはもう生産終了になることが確定していた96年。
他メーカーがカラーチェンジのみで細々と余生を送っていた頃、スズキはγをフルモデルチェンジしてきた。
外観を変えるだけの小手先の変更ではない。
なんとなんと、エンジンまで全くの新設計の70°Vツイン。 恐るべし、スズキ。
セルモーターによる始動は、利便性ではなく、徹底的にムダを排除した設計の結果、
キックペダルをつけるスペースが無かったとの噂もある。
後にラッキーストライクカラーもリリースされた。
スズキが他社の動きや時代の流れに逆らって自分達のやりたいことをやる、
「独創的」 で 「独走的」 なメーカーであることを証明する一台。 エライ。