<スポーツバイク言いたい放題>

GSX−R1000

CBR900RRは92年 ZX−9Rは94年  YZF−R1は98年。
中間排気量的に見られていた900〜1000クラスは、その後スポーツバイクのカテゴリーで最もメジャーなクラスになった。
GSX−R1000は01年登場と最後発となったが、性能的には圧倒的で 激しい競争の中で頭一つ飛びぬけた存在だった。

01年型GSX−R1000
96年にR750が衝撃のフルモデルチェンジをした時に 誰もが翌年に同じ内容のR1100の登場を期待した。
しかしR1100は登場せず、00年に再びR750が大掛かりなモデルチェンジ。
その00年型R750をベースに ようやくGSX−Rの長兄が登場したのが01年だった。

160馬力 + 170kg。
当時圧倒的だったYZF−R1でも150馬力 + 175kgだったから それを遥かに超えちゃったわけだ。
こんなすごいスペックが本当に実現してしまったんだなぁ〜と思った。
この性能は圧倒的で、翌年ライバル3車がモデルチェンジしてもまだトップの性能をキープしていた。
デザインは前年にフルモデルチェンジしたR750と同じだから、この時点で新鮮さは無い。
奇妙な顔つきも見慣れてきて かっこよく見え始めていた頃だ。

横から見ると軽くてスッキリしているけど、実車を見ると意外にもボリューム感がある。
視覚的にはあまり超軽量というのが伝わってこない。

外装の造形は意外にも上品にまとまっていておとなしい。
R750で既に見慣れていたとはいえ、この顔はやっぱり変。 96年型のR750の方がよっぽどよかった。
荒々しいわけでもなく上品なわけでもなく、速さ感の無いつまらないデザインだ。
もうちょっとスズキらしい毒々しさがあってもよかった。

ライトの位置が高いと速さ感を感じないものだ。間延びした顔に見える。
せっかく世界最強SSの座を手に入れたのに、スゴイぞっていうのが視覚的に伝わってこない。
どうせなら両脇のダクトのところがライトで、ライトのところが巨大ダクトっていう方が異様な迫力の顔になっただろうに。
興味深いのはこのエンジンが750からのストロークアップで造られた事。
ボア×ストロークは 73×59 で ボア・スト比は 0.80。
YZF−R1はフィーリング重視であえてロングストロークで造られたがそれでも 74×58 で 0.78。
ハイスピードツアラーとして生まれた隼でさえ 0.77だから如何にロングストロークかが分かる。
低速トルクを稼ぎやすいロングストロークで160psものパワーを叩き出しているのがGSX−Rの底力であり、
高い評価を得た秘密だと思う。

フロントフォークのチタンコーティングとゴールドに輝く6potキャリパーがそそる。
ホイールなんて社外のマグと変わらない位軽い。
ヨーロッパでのGSX−Rブランドはかなり高く評価されていて、日本より遥かに売れているらしい。
03年型GSX−R1000

2年後にモデルチェンジ。
中身はちょっといじって、新規性を感じさせるため外観を小変更するんだろうと予想した。
ところが、そんな生易しいものではなかった。フレームまで新作にしてきたのには驚いた。
それ以外にも変更点は多岐にわたり、共通部品を探すのが大変なほどの変貌ぶり。
向上したスペックは164ps + 168kg。
ついにパワーウェイトレシオは1.02。 いよいよ1.0の時代が来ることを予感させた。

モデルチェンジ前でも依然として動力性能トップの座をキープしていたから、
更に他を突き放して優位をゆるぎないものにする。おそるべしGSX−R。

横から見ると全体的にバランスが整っているのが分かる。
ますます厳しくなった騒音規制によってマフラー容量が大きくなっている。
ハヤリの黒フレームで引き締まった印象がある。
前作でGSX−Rは伝統の丸目二灯を捨てたが、今回は更に縦目になり、
古くからのGSX−Rファンは寂しい思いをしたかもしれない。
でもコンセプトは貫かれていて、全身に「らしさ」は漂ってる。

前作に比べると今回の顔はとてもよくなったと思う。スリムでスッキリしていて、速さ感も感じさせる。
ただし、隼で見慣れているデザインだし、新鮮さは無い。
CBR954、R1などに比べるとごく普通のデザインで、あまり冒険してない。スゴそうという感じがしない。
いい意味での「スズキらしい下品さ」が無い。
隼っぽいという意味ではアイデンティティはあるんだけど。

あっと驚いた前作のフロントフォークのチタンコーティングは、更に進化してカーボンコーティング。
ブレーキはラジアルマウント。
テールランプはLEDになったが、空いた空間にLEDを敷き詰めただけで、あまりデザインされてない。
イクラみたい。
一般道で少しだけ乗った。自分のデイトナ955とは比べ物にならない強烈なパワーだった。
そして同じ場所で乗り比べたCBR929RRとも違いは歴然で驚いた。

男らしく、純粋なバイクというのが伝わってくるんだけど、それ以外に色が無い部分は損をしてると思う。
R−1は 「YAMAHAファン以外の人」 も多く取り込んだと思うけど、
GSX−Rはいまだに 「スズキファンが選ぶバイク」 という気がする。

GSX−Rが水冷化された時に自分は
「いっそフレームもツインスパーにして、『GSR1100RR』とかに名前も変えて、
スプリントレースのレプリカとして、全く別物に生まれ変わるべきだった」 と思った。
そしてGSX−Rは耐久レーサーレプリカ、ハイスピードスポーツツアラーとして、油冷のまま存続してほしかった。
GSX−Rがこれ程までに単一指向の純粋さを身に着けた今、あらためてその思いを強くする。
05年型GSX−R1000
ハイパワー&軽量は一体どこまで続くのか。 
04にZX−10Rが出た時に、ここが限界点ではないかと思った。 でも同時に、スズキは黙ってないだろうとも思った。
そしてやっぱりスズキはやってきた。178ps + 166kg、パワーウェイトレシオ0.933kg/ps
ZX−10Rの 175ps + 170kg、0.971kg/psを大きく上回ってきた。
最も先鋭化が進む1000ccスーパースポーツは、いつしか「世界最速」のハヤブサの175psをも上回ってしまった。
すっかりアイデンティティになった縦目2灯だが、少々子供っぽくなった。印象は強いけど大人が乗るには気恥ずかしい。
曲線を多用した、ある意味スズキらしいヌメヌメした印象になった。
自然でリラックスできる前傾でとてもバランスがいい。 自分はこいつのポジションに惚れこんだ。

それまでは比較的ボリュームのある車体だったけど、今回はライバル他車と比べても飛びぬけて小さくなった。。
4気筒にしてこのスリムさは驚異的。 ステップ幅も極端に狭いから車高を低くしつつもバンク角を稼げる。
スリムコンパクトは直接運動性に影響するから これはいいことだらけなのだ。

登場以来エンジンパワー最強を誇ってきたが、ここに来て車体性能も最強になった。
2枚のパネルを立体的に重ねたカウルデザインが新しい。
こういう凝った事をすると多少なりとも重量&コスト増しになるはずなのだが、個性を出す事も忘れていない。

マフラーは極端に短い三角断面。 他3社が次々とセンターアップマフラーに移行していく中で
スズキだけは逆にマフラーを短くする方向を打ち出してきた。
センターアップは通常のレイアウトよりも5kgくらい重くなるとの話もある。スズキはあくまで軽量化にこだわっているのだ。
ただデザイン的にはボテッとしていてあまりカッコイイものではない。どうせみんなマフラーは換えるだろうから問題なしか。

ホイールのキャストスポークは異常ともいえる細さになった。

ウインカーは今までのレプリカにはあまり無かったビルトイン。フロントウインカーもミラーに埋め込まれる。
レプリカのウインカーは取り外す事が前提の処理をされるのが普通だったが、
04年のZX−10Rあたりから ウインカーをカウルの一部としてデザインの中に取り入れ始めた。

メーター内にギヤポジションがデジタル表示される。 このギヤポジションインジケーターは現代では他に例が無いが、
実は80年代前半にスズキが好んで採用していた装備で、自分が親父のお下がりで乗っていたGN250Eにも付いていた。
これがあるととても便利で、車と違って今何速なのかが分かりづらいバイクにはあって当然の装備だと思うのだが...
このシートの絞込みを見よ。 大排気量スポーツで間違いなくNo.1の足つきの良さ。
足を着いた時の股周りのスリムさは驚異的。 体のセンターに限りなく近い場所に自分の足が着いている事に驚く。

乗った感じは これはもうレーシングマシン。危険な香りがプンプンする。
アドレナリン系の勇ましいエンジンフィーリングで、回す事を要求してくる。
そういえば03年型も勇ましかった。 これがスズキらしさなんだろう。
果たしてこのスペックに対向してくるメーカーがあるだろうか。
パワーウェイトレシオ最強の座を奪いに来るバイクはもう無いかもしれない。

ただ、恐ろしいのは、このGSX−Rのエンジンにはまだコンパクト化の余地があることだ。
このエンジンの起源をたどれば ベースになっているのは96年のR750で、初めてクランクケースを3分割して
前後長をつめることに成功したえら〜いエンジンなのだが、
98年のYZF−R1はその考え方を更に突き詰めた、前後長の極端に短いエンジンを実現した。
その後ホンダ、カワサキも追従したため
GSX−Rはこれほどまでに軽量コンパクトを実現しているにもかかわらず、他車よりもエンジン長が長いのだ。
つまりGSX−Rがエンジンを完全新設計すれば更にコンパクト化が実現する可能性があるわけだ。