スポーツバイク言いたい放題

ZZR11000

GPZ1000RXはNinjaの2年後に登場。 ただしコンセプトが違う別モデルとのことで、Ninjaも併売された。
しかしRXは当時世界最速だったNinjaを全ての面で超えていたわけだから、
カワサキとしても1年くらい併売してその後完全にバトンタッチするつもりだったんじゃないだろうか?
しかしその後はご存知の通り。 旧いNinjaは旧いまま変わることなく生き続け、 RXは常に最先端としてモデルチェンジを重ねZZRへと繋がる。

86年型 GPZ1000RX (ZX1000A)
登場時のインパクトはかなり大きいものだった。何よりもこの見た目。 まずそのボリューム感に圧倒された。
ライトは丸か四角が常識の時代に ちょっとつぶれた逆台形のライトがスクリーンと同一曲面を構成する。
いかにも空力が良さそう。
一足先にデビューしたGPZ400Rのあたりから、カワサキデザインは空力の点で急激に進化していた。
当時は空力が重要視され始めた初期の頃で、カワサキがバイクデザイン全体を引っ張っていた感がある。
125ps、238kg。 メーターは280km/hまで刻まれる。
正面から見ても、いかにも空気抵抗の少なそうな滑らかな曲線で、きれいに空気を後方に流してくれそう。
Ninjaのライト周りは空気の壁をまともに受けそうな形をしていたから、2年で考え方が随分変わったんだなぁ。

ずーっと後ろまで延びてウイング状になってるウインカーボディが、前から見るとエラのように張り出してる。
エイかマンタなど海中生物みたい。 テールランプは長方形をなんと縦に置く。

前後16インチ、鉄フレーム、バイアスタイヤ、などが時代を感じさせる。
エンジンフィーリング的にはゴソゴソしてて好き。 カワサキらしさを色濃く残している最後のモデルと言えるかも。 
面白いのは格納式グラブバー。引っ込めるとテールカウルと面一になる。
この機能はZX−10にも継承されたが、その後は消えた。
「グラブバーはかっこ悪いから使わないときは隠す」 という考え方から、
「全体のデザインを損なわないカッコいいグラブバーをつける」 に変わったのだ。

後に追加された希少カラー。大人を感じさせる白とシャンパンゴールド。上品で好き。下品なものも好きだけど。
88年型 ZX−10 (ZX1000B)
2年でフルモデルチェンジ。 アルミフレーム、ラジアルタイヤの採用が目玉。
二輪のラジアルタイヤは四輪よりも技術的に遥かに難しく、普及はこの頃だったのだ。
空力の考え方は更に進み、空気の乱流が全く発生しないかのようなシルエットになった。
同じ排気量で12馬力もアップして137ps。 更に900R〜ZZR1200までの一連のシリーズの中で最軽量の222kg。
スピードメーターはついに300km/hまで刻まれるようになった。
RXではウインカーボディがやたら大きくてそれがウイングのような形状になっていたが、
ZX−10ではウインカー後部のカウル自体がウイング形状になり、まさに「エラ」になった。

リヤは相変わらずテールランプが縦置きで、テールカウルは更になめらかなラインになった。
テールまわりのボリューム感に対して、この頃はまだリヤタイヤが160と細め。

ZX−10はZZR1100デビュー後も併売された。
写真は上から88年、89年、90年、北米Ninja仕様。
落ち着きがありながらシャープでどの年式のラインも好き。

この頃のカワサキは ZX−10、ZX−4、KR−1、という感じのネーミングをしていた。 カッコいいネーミングだと思う。
(ZX−10は1000cc、 ZX−4は400cc、 でもKR−1は250cc。 何故?
以前にKR250というバイクがあったのだから、 その第2世代という意味も含めて「KR−2」でよかったんじゃない?)

自分は この形をエアロデザインの一つの完成形だと思っている。 ZZR以降は「完成」から「応用」に入ったと思う。
滑らかなボディラインには隙が無い。
ただ、完成されすぎたデザインが逆に「カワサキらしくない」と評価されたのか、
Ninjaエンジンを積む一連のシリーズの中では最も人気が低かった。

個人的にはかなり好きな一台。
90年型 ZZR1100 (ZX1100C)
このバイクが無ければブラックバードもハヤブサも無かっただろうと言われる名車。
全世界を騒がせた一台だけど、デビューは比較的静かだった。
147ps 228kg。 世界最強馬力を叩き出しているが 他にさほど目立つ装備は無く、外観も落ち着いている。
モーターショウでもさほど派手なプロモーションをせず、マスコミもあまり注目していなかったと聞く。
しかし試乗会が開催されてから初めて 圧倒的なパワーと巨体に似合わない軽快なハンドリングで大騒ぎになったらしい。
外観的な最大の特徴が このヒョットコのような顔。
今でこそ当たり前になったラムエアだが、最初にやったのはカワサキで、 この装備をメジャーにしたのはZZR1100。
この口がセンターではなく右に寄っているのはステアリングステムを避けてストレートに空気を導入するためなのだが、
左右対称になるまで口を横に伸ばす事だって可能なのだから、あえてオフセットしたのはやはりデザイン的要素だと思う。
これは賛否両論だったが、自分はこの奇妙な顔が大好き。
ウインカー部の「エラ」は ZX−10より張り出しが少なくなり 少々おとなしくなった。
かわりに?テールカウルの張り出しがウイングのように大胆に張り出した。
これは衝撃的だった。 この部分だけ見ても「欲し〜い」と思ってしまった。

最高速、加速、曲がりやすさ、乗りやすさ、などの総合性能は圧倒的で、太刀打ちできる車種は無かった。
性能を証明するかのような320km/hスケールのメーターも話題をさらった。
最高速アタックが各雑誌で行われていた。
GPZ−R、GPZ−RX、ZX、ZZR...。 思えばモデルチェンジの度に名前が変わるというのも例が無いのでは?
ちなみに...このバイクは登場当時、「ZZ−R」という風にハイフンが入っていた。後に「ZZR」に改名された。
登場当時はこの名前にすごい違和感があったのを覚えてる。
車名の最後に「R」がつくバイクは多い。 「レーシング」の意味だったり 高性能を表す記号として使われる。
だから「−R」というのはサブネーム的な印象が強い。
ということはこのバイクの名前は「ZZ」なのか?という違和感。
更にちなみに...この「ZZ−R」の読み方だが、当初正式にカワサキがなんと読んでいたのかわからないが、
世間では多くの人が「ダブルズィーアール」と読んでいたと思う。
これも後にカワサキが改名と同時に「ゼットゼットアールと読む」と正式発表した。
すっかり馴れてしまったが、冷静に考えると「ぜっとぜっと...」ってやっぱり妙な名前だよな。
93年型 ZZR1100 (ZX1100D)
完璧と思われる総合性能を持ち、それを超えるライバルが存在しなかったZZRがモデルチェンジしたのは意外だった。
馬力は変わらず147ps。重量はちょっと重くなって233kg。
フレームが大きく変わってシートレール付近が随分がっしりしている。
C型のようなエッジが効いた部分は無くなり、全体的に丸っこくなった。
デザイン的にアクが無くなり、個性は減ったと思う。
ラムエアの導入口は2つになり、左右対称の顔になった。ブタの鼻っぽい。
C型にあったような異様な迫力は無くなった。
エンジンも車体も変更を受けて最高速アップか?と思わせたが、今回の変更は超高速走行時の安定性が目的との事で、
カワサキとしてはライバル不在の最高速性能を更に引き上げて他を突き放そうという考えは無かったようだ。
むしろ最高速はC型よりもわずかに落ちたと聞く。
中型車並と言われたハンドリングも安定性重視に振ったらしく、外観だけでなく性格的にも個性は薄れたと言える。

同じ年にGSX−R1100が水冷になって、ZZRと同じ320km/hメーターと ZZRを超える155psを引っさげて登場したが
世界最速の座を奪われる事は無かった。 ラムエアの効果と 馬力の差以上に空力が優れていたんだと思う。

初期型のこのカラーリングは日本の伝統芸能である歌舞伎をイメージしたとの事。
下品な色合いもさることながら、造形を無視した塗り分けはセンスが無く、カワサキらしくない。
その後このD型は人気車として9年間変わることなく生き続けた。
しかし9年変わらなかったという事実よりも、
C型登場以来長きに渡って世界最速の座を守り続け、
96年のCBR1100XXまで その性能を超えるもの、直接のライバルになるものが現れなかったという事実。
激しい技術競争の中で、これはすごい事だ。
ZZR1100は歴史に名を残す名車だと思う。
02年型 ZZR1200 (ZX1200C)
ビッグネームZZRが排気量を1200に拡大してフルモデルチェンジ。
同じZZRの名前を持つが、これはちょっと今までの流れとは違う。
ニンジャ系エンジンを積む一連のフラッグシップシリーズの中で唯一世界最速を意識しなかったモデル。
新たな最速バイクであるZX−12Rがあったから、最速争いの舞台からは身を引いてツーリング向けに大きくシフトした。

ただしそれがコンセプト変更だと言えるかどうか...。
ZZR1100初期型のテールカウルには「GranTurismo」(グランドツーリングという意味)と書かれていた。
最高速は結果的についてきたものであって、元々のコンセプトは大陸横断超高速ツアラーだったと考えると
変更ではなく、本来のコンセプトに立ち返ったと言えなくも無い。
155ps 236kg 既にインジェクションが一般的になっていたが あえてキャブレターを採用する。
ミッキーマウスと呼ばれた愛嬌のある顔。 テールランプもそれに準じたデザイン。
ベンツの四輪車にこんな感じのライトを持つ車両があったが デザインイメージにそれがあったのは間違いないだろう。
ツーリング向けに振ったからと言って、なにもおとなしいデザインにする必要は無いと思う。
事実この優しすぎるデザインに対しては賛否両論あったが 「賛」よりも「否」の方が多かった。

カワサキにもやはり迷いがあったのだろうか、 
06年にZZRは完全に生まれ変わり、1400となって世界最強の舞台に戻ってきた。