スポーツバイク言いたい放題

GPZ400R

GPZ400Rがデビューしたのは自分がバイクを好きになった高校2年の頃。
それまでのバイクとは明らかに違う、独創的なエアロデザインと400とは思えない大きさで、業界に与えたインパクトは大きかった。
毎年のように大掛かりなモデルチェンジが行われる加熱したバイクブームの中で、決して速くも軽くも無いのに2年連続ベストセラーに輝いた名車。

83年型 GPz400F (ZX400A)
自分がバイクを好きになった頃、頻繁に見かけたのがこのバイク。
400とは思えない大柄な車体が人気の秘密だったのか?
それまでのZ400GPまでの 角ばったデザインから一転、流れるような外装を持つ。
このバイクの車名は 「GPz400F」。 「z」 は小文字。

上はZ400GPのエンブレム。
サイドカバーに まず「GP」が強調されるように大きく表記されて、
その横に小さめに「Z400」とかかれたため そのまま読むと「じーぴーぜっと400」と読めた。
しかし色分けからも、これは「GPz」と読むのではなく、「GP」のサブネームを持つ「Z400」である事が分かる。

GPZ400という名前は そこから発生し、 「z」 が小文字なのは そのなごりと思われる。
下がGPz400Fのエンブレム。 こちらの色分けは「GPz」の「400F」である事が分かる。
85年型 GPZ400R (ZX400D)
バイクを好きになった高校2年。 カタログ集めをしていた頃にデビューしたGPZ400Rは、印象に強く残っている。
やたら巨大なタンク、径が小さく縦に分厚いタイヤ、威風堂々のボリュームある外観。 とにかくインパクトは大きかった。

それまでの 「GPz」 から 「GPZ」 と全部大文字になった。
これのデビューと同時にカワサキは 『カワサキ=「R」』 をやたら強調するようになり、「Rグッズ」を多数リリースした。

ライトがカウルの曲線に合わせて一体になってて段差も無いのが新鮮だった。
前年の84年にGPZ750R・900R(Ninja)もデビューしているが、風をまともに受けそうなNinjaより、
スムーズに風を後方に流しそうな400Rの方が 遥かに進んだデザインに見えた。
ライトが空力の邪魔をしない時代が来た。
車体の真ん中で交差するAL−X(アルクロス)と呼ばれるフレームも印象が強い。
機能というよりもデザインが先行している感もあるが...。

レーサーレプリカ全盛時代、新しくて速いものこそ一番という風潮の中で、
レーサーとは程遠い、重厚なGPZ400Rが2年連続ベストセラーになった。
GPX400Rがデビューした87年、人気が依然として高かったGPZ400Rも併売された。
D3型。 全身真っ黒バージョンが登場。 とにかくカッコ良くて迫力があって大好きだった。
フレームからマフラーに至るまで真っ黒なのは 重厚なデザインに良く似合ってる。
過去に限定カラーでNinjaのロゴが入ったものはあったが、この年から標準でNinjaのネーミングが与えられるようになった。
89年。D4型でシリンダーヘッドをGPX400Rのものに変更した。 当然走りは良くなった。
足回りもGPXに準じて、ESCSという電子制御のアンチノーズダイブを採用。

黒いカラーの方はNinjaの文字が金色の影文字になっていて とてもかっこよかった。
この型がGPZ400Rの最終型になった。
GPZ400Rと併売されたネイキッドバージョン FX400R。
ライトとメーターがフレームにマウントされ、ビョーンと前に飛び出していて、
ハンドルを切ってもメーターとライトが動かないのは不思議な感覚だった。

FXというネーミングはZ400FXを意識していることは明らか。
古いカワサキに思い入れがある人達から このバイクにFXの名を与えたことに対する批判も少なくなかった。
カウルがなくなったせいで、タンクの大きさがより強調された。
この頃のカワサキはタンク上面がフラットで横に幅が広かったから、
またがった時に 「大きなバイクに乗っている」 という満足感があった。

GPZ400Rの2本出しマフラーに対して、こちらは1本出し。
フレームも鉄製で、クロスしてない一般的な形状。
GPZのやたら横長のテールランプに対して、こちらは長方形の縦型。それに伴ってテールカウルも違う。
という具合に 単にカウルを無くしただけでなく、結構色んなところが専用設計だった。
あまり一般ウケはしなかったが、個人的には大好きな一台。
85年型 GPZ600R (ZX600A)
輸出向けの600が 国内で限定販売された。 こちらは正式にNinjaのペットネームが与えられた。
フレームが400のアルミに対して600は鉄。

で、このフレーム、形は400に良く似ているが、横に走るサブフレーム部分は実はボルト留めのダミー。
デザイン的要素であって、強度を受け持っていない。

元々重たい車体は 600ccのエンジンを得てようやく本来の姿。 走りの評価は高かった。
87年型 GPX400R (ZX400F)
カワサキが ずーっと長く続けてきた「Z」の記号から一瞬離れた時があった。
それが「Xの思想」をうたったGPXシリーズのほんの数年。

GPZ400Rが2年連続ベストセラーになったことを受けて、デザインイメージは大きく変えなかった。
しかし内容的には全てを見直して性能を向上。
GPXシリーズの装備は全てがオーソドックスな内容で、
毎年過激に進化する他メーカーに対して 時代に逆行するかのようだった。

その最たるものがフレーム。独創的なアルミクロスフレームから、
「FASTフレーム」と名前はカッコイイが、極普通の形の鉄フレームへ。
エンジンも特別なニューメカは無い。
当時、空力性能を表す基準として 「CD・A値」 というものが頻繁に使われていた。
GPX400Rは 「CD・A値0.28」を高らかに謳っていた。
ニーグリップしやすいように、シートから続くクッションがタンクサイドにまで回りこんでいた。
他にもシートの低さ、バンク角の深さ、霧の中でも見やすいイエローのライト、グラブバー、センタースタンド、など
性能一辺倒ではない人に対する優しさが強調されていた。 これが「Xの思想」

さて、見た目はGPZに似ていて、性能は向上してるGPX400Rは 「売れて当然」 のはずだったのだが、
実際は全く売れなかった。併売されたGPZの方は引き続きよく売れた、というなんとも皮肉な結果になった。
初期型のパールコスミックグレーはどうしようもない色で、
黒いバイクがホコリかぶってつやが無くなったらこうなるっていうような中途半端なグレーだった。

その反省と、販売面の不振を打破するために、 黒を復活させ、更に「Ninja」のロゴを与えた。

随分精悍なイメージになったが、時すでに遅し。 ペットネーム「Ninja」の神通力も通用せず。
こうして真横の写真を見比べると、GPZと似ているようで、全然違う。
速さ感の無い おじさん臭いシルエットだ。 それが全てを台無しにしたのだ。
86年型 GPZ400S (EX400A)
こちらはGPZという名前は付いてるものの、エンジンはアメリカンのEN400twinと共通の2気筒。
ただしENのエンジンはGPZ900Rを半分に割ったような内容で、「ハーフニンジャ」と呼ばれていたから
一応ルーツはGPZと言っていいかも?

459,000円。これはどんどん先鋭化して50万円を楽に突破していた250ccよりも安かった。
この安さに、大学生だった自分は随分ときめいた。
こんなかっこいいバイクが こんな安さで手に入るなんて! 2気筒でも扱いやすいならイイじゃん!

今見たら安っぽいデザインだし、あちこちにコストダウンのしわ寄せがアリアリなのが分かるが、
当時はとてもかっこよく見えて、超お買い得に思えたのだ。

まぁ結果は言わずと知れたことですが、全く売れなかったようです。
カウル付のかっこいいバイクを求めている人は細かい部分の質感にこだわるし、
値段最優先の人は最初から250を買うか、もっとオーソドックスな形を選ぶから、ターゲットがハッキリしなかったんでしょう。