<スポーツバイク言いたい放題>

VTR1000F

97年はVツインスポーツが話題になった年。
ドゥカティがレースで成績を残すようになってきた事、各社とも絶対性能ではなく扱いやすい次世代スポーツの姿を模索していた事がきっかけ。
この年に登場したホンダVTR、スズキTLともに、ドゥカティを意識しつつも、オリジナルの技術を強く出した構成。

97年型 VTR1000F (SC36)
洗練されてて落ち着きのあるデザインが個人的にはとても好き。
VTR1000Fはホンダとしては珍しく、デザインにかなり力を入れたと思える一台。
ヤマハ的ともいえる繊細なデザイン。

ライトは普及し始めのマルチリフレクターで、ギョロっとにらむような鋭さがある。 
アッパーカウルもテール周りもよく考えられた線を持ってて、綺麗にデザインされている。
テールランプは凹状にへこんでいる凝った形状。
自分はこのVTR1000Fをホンダの中で1、2を争う傑作デザインだと思っている。
横から見た姿もスポーティでありながら落ち着きがあって、大人のSSという感じがする。
110ps 192kgというスペックは、TL1000Sよりもおとなしい。 更にTLのインジェクションに対してVTRはキャブレター。
既に「R」バージョンが計画されていたから、あえて限界性能を求めず、扱いやすさに振ったのか?

「FireStorm」というペットネームだけは響きが良くないし、意味が分からない。
「炎の嵐」って、そういうイメージのバイクじゃないでしょ?
フレームも綺麗で個性的。
TRX、TL、VTR、3台が全て、フレームにドゥカティの得意とするトラス構造の理論を取り入れているのが面白い。
さらにTRX、VTRはフレームにスイングアームピボットを持たない構造なのもドゥカティと同じ。
やはり各社とも先駆者を意識、または手本にしている。
Vツインは全長が長くなりがち。 ホンダはラジエターを両サイドに持ってくる事によって対処。
メーターは縦型。 これはドゥカティが好んで採るレイアウトに似ている。
距離計がデジタルなのもこの頃が出始め。
01年にマイナーチェンジ。
メーターが多機能デジタルパネルを加えたものになった。
CBR1100XXのデジタルメーターといい、この頃のホンダのメーターはめちゃカッコイイ。
燃料タンクが16L→18Lに変更。
キーの中にチップが埋め込まれていて照合する防犯システムも初採用。
00年型 VTR1000SP1
「F」が登場してからすぐに「R」バージョンの登場はささやかれていたが、大方の予想から遥かに遅れた3年後になった。
個性的だったフレームは ありがちなゴツいツインスパーになった。
大きな違いは外観とフレームだけかと思ったら、エンジンまで新設計されている。単なるバージョン違いではなく全てが別物。
136ps 200kg。
センターに縦型のエアインテークは個性的だけど、 顔は同社の四輪 当時のステップワゴンに似ている。
キョトンとした顔で速さ感もなく、とてもカッコイイとはいえない。

1000Fではデザインに凝った部分が多かったが、
これのデザインには遊び心もおしゃれ心も無い。 不細工だし工夫が無い。
SP1はどうせレースに使うんだからデザインはどうでもいいやって感じ。
どうせ俺は後姿しか見せねぇぜっていう意味か?
フルデジタルのメーター。 バイクらしくないけど、かっこいい。
スピードがデジタル表示というのは実は結構見やすい。
SP1のエンジンは 名門モンディアルの復活第一号車「ピエガ」にも使われた。
このエンジン供給は、ホンダが世界GPに挑戦し始めの頃、参考にさせてもらったモンディアルへの恩返しと言われている。
350万円くらいする高額車。
02年型 VTR1000SP2
見た目あんまり変わらないけど、実はフレームもエンジンも大幅に見直されている。
馬力は同じ。 重量は6kg軽量化。

スーパーバイクのレギュレーションが変わり、4気筒も2気筒も同じ1000ccになったため、
ホンダもスズキも1000ccのVツインスポーツの開発をやめた。
Vツインはスポーツバイク用のエンジンとして一つの良いフォーマットであるはずなんだけど、
結局日本のメーカーはレースを基準にバイクを開発するのだ。