本の話'07

06  07  08

「×ゲーム」 山田悠介
04年 幻冬社 ¥520

彼の作品は今年の夏に読んだ「オール」が初めてだった。
でも「オール」はホラーで有名な彼としては本流ではないはずで、一度本流を読んでおきたかった。
(’07/12)
嫌われていたクラスのマリコを仲間と一緒に「×ゲーム」と称していじめていた英明は、「マリコにマジ告白」するという「×ゲーム」に当たった。
それから12年。 突然彼らの前に現れたマリコは、英明への偏執的な愛を抱き壮絶な復習を始める。

ホラー作品でかなり有名な人だから期待して読み始めたけど結果的にはイマイチだった。 所々に不自然さがあって興ざめしてしまう小説って結構多い。
これもあらすじ的には面白いんだけど、細かい部分のツメっていうのかな、完成度が高くない気がした。
自分はホラーとかミステリーにもどこか最後にスッキリしたものを求めるんだけど、これには「読んで良かった」と思わせるものは無かった。
彼の作品2冊がどちらもハズされた。 何故人気があるのか分からない。たまたま当たりが悪かったんだろうか。
「よもつひらさか」 今邑 彩
99年 集英社 ¥760

メンバーであるヤナギヤ氏から借りた。 ホラー短編12編。 
(’07/12)
美しい私の為に邪魔者を次々消してくれる会った事の無い見知らぬ醜いあなた。 決してむやみに覗いてはいけない未来を映す鏡。 半年経ったら別れる条件で結婚した夫婦。
自分の罪を隠しながらもしゃべりたくなる犯罪者の心理。 開いたり閉じたり変化する絵の中の窓。 一目会った瞬間に憧れていた女性の生まれ変わりだと確信した男。
一人で歩くと死者に会うらしい「ひらさか」と呼ばれる長い坂道。…

ホラーと言っても軽い感覚で読める短編。 知識をひけらかすような難しい言い回しも無くストーリーもシンプルで読みやすく、楽しめた。
★★★★ 
「我らが隣人の犯罪」 宮部みゆき
90年 文春文庫 ¥470

宮部みゆき作品2冊目 短編集
(’07/11)
買ってから知ったんだけど、これは宮部みゆきのデビュー作品だった。 ちょっと失敗。
いや、デビュー作だからダメってわけじゃないし、有名になる前から素晴らしい作品を書いていたって事も多々あるとは思うんだけど…
でも極端な話、有名になったから後になって増刷されて本屋に並んだわけで、出版当時はほとんど本屋に並ぶことも無かった作品なわけだよね。
で、実際読んでみて、やっぱりイマイチだった。 話はまずまず面白いんだけど、設定や展開が不自然で興ざめてしまうのさ。
「GOTH 夜の章」 乙一 角川文庫 ¥460

「GOTH 僕の章」 乙一 角川文庫 ¥500 

乙一作品7冊目 本格ミステリ大賞受賞作品

各3編ずつ収められた連作短編集
(’07/11)
同じ主人公による、それぞれで完結した話6編。 猟奇殺人に深い興味を抱く少年が様々な事件に巻き込まれていく…というよりも事件に自ら関わって行く。

上巻・下巻ではないから、どっちから先に読んでいいのか分からなかった。 「僕の章」を読み終わってからこちらが下巻だった事がわかってしまった。
だから「夜の章」を読んでから、もう一度「僕の章」を読んだ。

毎回話が完結する連続ドラマを見てるような感覚があった。 彼らしい、読者に仕掛けるトリックも散りばめられている。
ただしそれはTVドラマでは実現しない、文章特有のトリック。 つまり読者に「読み違え」をさせようとしている。 そしておそらく誰もがそのトリックに引っかかる。
乙一が得意とするサイコホラー色の強いストーリーが炸裂してる。 ただし今回は全6編を読み終えたときに、清々しい気さえした。面白かった。
内容が猟奇的だから、積極的にオススメできるものじゃないし、★を5つ付けるのは気が引けるんだけど… 続編を執筆してほしいと思ってしまったので…
★★★★★
「地下街の雨」 宮部みゆき
94年 集英社 ¥540

代表作「模倣犯」の作者による短編集
(’07/10)
宮部みゆきの作品は読んでみたいと思っていた。 長編大作が多い中、宮部みゆきワールド入門編として短編集を選んだ。

毎日深夜に電話をよこすストーカーに対する制裁「混線」 真面目で気弱で酒が飲めないばっかりに事件に巻き込まれ人生を狂わせた男の狂気「ムクロバラ」
ある日突然耳が聞こえなくなった、しかもどうやら家族全員が。しかしそれは光沢のスーツを着て銀河から来たと主張する彼の仕業だった「さよならキリハラさん」 他
軽い感覚で読めるミステリータッチの7編。
★★★
「トリップ」 角田光代
04年 光文社 ¥520

角田光代作品5冊目 連作短編集
(’07/10)
連作にも色々なタイプがあって、全ての話が同じ主人公によるものだったり、脇役だった人が次の話の主人公になってたりするパターンがある。
これは後者。ただし各章の主人公同士に深い人間関係は無く、ただの通りすがり、エキストラ的な繋がりしかない。
だからあまり連作という感じはしない。 そういう意味では06年に読んだ「男は敵、女はもっと敵」の連作ぶりは素晴らしいものがあった。

角田光代作品には明確な特徴が2つあって、一つは話が結論を見ないまま終わること。 この短編集もほとんどが事件や紆余曲折や波風が収束しないまま終わる。
それはその後の展開を読者に想像させようとする意図なのかもしれないし、人生において問題がはっきり決着しないでズルズル行くことなんて沢山あるだろうから、
ある意味彼女はとても現実的なのかもしれない。 無理に結論を出さない分話が自然という見方もできる。 ただし人によってはスッキリしない残尿感は残るかも。
もう一つは、主人公達がみんな超然としてる事。問題が起こったり、他人に酷い事を言われたりしても動じない。ドキドキしたり焦ったり取り乱したりしない。
他人事のように冷静で、人生なんてそんなもんなんだ、って現実をそのまま受け止めるクールさがある。 それは多分彼女自身がそういうタイプの人なんだろうと思う。
★★★
「蛇にピアス」 金原ひとみ
04年 集英社 ¥1260

ご存知、綿矢りさとともに20歳で芥川賞を受賞した著者の作品。
メンバーのタケに貸してもらった。
(’07/10)
「スプリットタンって知ってる?そう、蛇みたいに分かれる舌。人間もああいう舌になれるんだよ」

読んでて前半はちょっと心配だった。これは刺青の物語なのか?このまま刺青の話だけで終わってしまうのか?…と。
まぁ確かに刺青の話って言えばその通りなんだけど、半分を過ぎたあたりから「事」が大きくなってスリリングになっていく。
芥川賞というのはどういうものに贈られるのか知らないし、これが作品として素晴らしいのかどうかは分からない。ただ、これを20歳の女の子が書いたというのが驚きだった。
いや逆に20歳だから書けたのかもしれないけど。
★★★
「嘘つき。」 〜やさしい嘘10話〜
06年 ダヴィンチ編集部 ¥590

10人の女性作家による「嘘」をテーマとした短編10編
(’07/9)
「嘘をついて苦しかったでしょ。それが嘘をつくという事なの。18歳まで嘘はつかないように」 チャラチャラしていいのは33歳までとか、お母さんは時々意味の分からない法律をつくる」

全部違う人による短編集を読むのは初めて。 このシリーズは他に「秘密。」 「ありがと。」 「君へ。」がある。
「嘘」がテーマとはいえ、それほど重たい内容じゃない。必ずしも「嘘」がメインテーマではなく、織り交ぜられてる程度のものも多かった。 それゆえにソフトすぎる気もした。
短編で終わらせてしまうのがもったいないのが3編ほどあった。 その人の長編は読んでみたい。
お気に入りを探すためのオムニバスCDみたいな感覚としても こういうのはいいかも。 表紙のモデルさんは多分「のだめ」だと思います。 めんこいです。
★★★
「死にぞこないの青」 乙一
01年 幻冬舎 ¥480

乙一作品6冊目 長編
(’07/8)
大好きだった羽田先生から嫌われてしまったマサオ。 先生は他の生徒がした悪さも全部マサオのせいにするようになった。
先生の仕打ち、クラスメートからのいじめがエスカレートしてきたある日、マサオは校庭の隅に青い男の子を見た。 その姿は悲鳴を上げたくなるほど狂気じみていた。

おぞましい場面もあり、どうなっちゃうんだろうと、ハラハラというよりおそろしかった。
かなりホラー色の強い作品。 彼の作品はどれもダークな内容なんだけど、時々特にホラー色が強いものがある。でも彼の良さってホラーではないと思うんだな。
★★
「MISSING」 本多孝好
99年 双葉文庫 ¥630

5編を収めた短編集。 本多孝好作品4冊目
(’07/7)
その時の母のセリフは忘れない 「私だって好きであなたを生んだわけじゃない」...『眠りの海』  死んだ妹の名前を名乗る女の子の話...『祈灯』、

「私と寝たい?」 僕は頷いた。 「でも寝ないんでしょ?」 僕は頷いた。 「でも寝たいとは思ってくれるのね」 僕は答えた「うん、ずっと思ってる」...それが最後だった。...『瑠璃』

「佐藤覚えてる? 僕の後ろの席にいた彼」 「それはキミの記憶違いだ。 キミの後ろには僕が座っていた。」 「本当に覚えていないのかい? 僕の後ろ、キミの前に確かに佐藤がいた」
「高校のクラスメイトを半分覚えてるとして、40人全員から全く忘れられている人がいる確率。一兆分の一。 もし全員に忘れられているのなら、それはゼロでも良かった。
いやゼロという数字自体意味が無い。 キミ一人が覚えていたおかげで、限りなくゼロに近いけどゼロではない数字が生まれた」...『彼の棲む場所』

これは彼の初期の頃の作品で、話の展開とか登場人物の言動にどことなく不自然さがある。 作家も成長してるんだなぁって当たり前のことを感じた。
エリート街道を歩く大学教授の隠された狂気を描いた『彼の棲む場所』はなかなか印象深かった。
★★★
「オール」 山田悠介
07年 角川書店 ¥1,155

「リアル鬼ごっこ」の著者による連作短編集
(’07/7)
一流企業に就職したけれど、やりがいを見つけられずにすぐ辞めた。 軽い気持ちで働くことにした「何でも屋」は変な奴らに変な依頼だらけだった。
何でも屋に舞い込んだ5つの変な仕事を描いた5つの短編。

かなり売れてるみたいだし、期待したんだけど、イマイチだった。 「リアル鬼ごっこ」も読んでないから、どういう作家なのかわからないけど、ミステリー色が強くて、
奇想天外なストーリーが展開するんだと思ってた。 期待が強すぎたのか、どーも安っぽいドラマみたいでひねりが足りなくて、消化不良な感じ。
★★
「新釈 走れメロス 他四編」 森見登美彦
07年 祥伝社 ¥1,470

07年本屋大賞2位
(’07/5)
「山月記」 「藪の中」 「走れメロス」 「桜の森の満開の下」 「百物語」 名作を現代的にアレンジしたという事なのだろうが、残念ながら自分は「走れメロス」しか知らない。
「走れメロス」から判断するに、「リメイク」ではなく、これらの作品からインスピレーションを受けた森見氏が 好き勝手に書いた という事なんだと思う。

とても面白かった。 原作を知っていればもっと面白かったんだろうと思う。 とくに「走れメロス」が一番めちゃくちゃで、森見ワールド満開。
そして5編に共通した人物が登場して連作風になってたり、「夜は短し歩けよ乙女」に出てきた人物、団体、場面が出てきて 全てが同じ世界で展開してると思わせるのが面白い。
是非原作を読んでみたいとさえ思った。 原作5編を1冊にまとめたものがあればなぁ。 そしてその2冊を対比して読むとメッチャ面白そう。
★★★★★
「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦
06年 角川書店 ¥1,575

2007本屋大賞ノミネート作品
(’07/5)
「幼い頃は自暴自棄になって三輪車にまたがり、幼児にあるまじき速度で坂道を下って母を卒倒させた事もある私です。
そんな愚かな私を救ってくれる幸運の数々。 神様の御都合主義万歳!なむなむ!」

4つの話が入ってるけど全て同じ登場人物で、話はつながっているから、連作としてではなく全部で一つの話として読んでもいい。
今までに読んだことがない不思議な感覚の文体とストーリー。

初めは「変わった登場人物達による変わったお話」として読んでいたが、途中で人が宙に浮いたりしはじめ、
現実ではなくファンタジーとして読まなくてはいけないのだと頭の切り替えが必要になった。
本って、文章を頭の中で映像化しながら読み進むから、途中で「現実路線」から「非現実路線」への変更を強いられるのは、今まで描いてきた映像を否定されたようで気分が良くない。
すごく面白かったんだけど、その瞬間にクールダウンしてしまった。 個人的には「非現実」ではなく、「とても変な人達のお話」のレベルでまとめて欲しかったのが正直なところ。

ただし面白かったのも事実で、どこか「千と千尋の神隠し」的な匂いもする物語。 
どう育ったらこんな難しい言葉と言い回しが身につくんだろうってくらい とにかく文体が独特で、好き嫌いは分かれそうだけど、彼の別の作品も是非読んでみたいと思った。
★★★★
「どれくらいの愛情」 白石一文
06年 文芸春秋社 ¥1,714

年末放浪の時に持っていったが読めなかった本のうち最後の1冊。
4編が収録されているが、文字が小さいため1編は結構長い。 短編集というよりは中〜長編集。
1年ぶりに読む白石一文作品5冊目。
(’07/3)
「20年後の私へ」
岬は、結婚相手としては完璧と思える男性だった野上からの求婚を断った。 そしてそんな自分に動揺した。 彼と結婚できないという思いは揺ぎ無いはずだった。
しかしイザ理由を聞かれて、うまく説明できない自分に気付いたのだ...。 強引に引き止められる事も心のどこかで覚悟していたが、そうしなかった彼は最後まで理性的だった。
岬は自分の方が軽くあしらわれてるような情けない気持ちになった、と同時に野上の男としての限界を垣間見たような気もしたのだった。

「たとえ真実を知っても彼は」
作家の里見先生が亡くなった。編集者である私にとっては恩師であり父とさえ思っていた人だった。 その直後に妻が離婚を申し出てきた。 何故? どうしてこんな時に...?
妻に問いただし事情を聞くにつけ、私達の結婚も、息子の出産も、全ては里見先生が周到に仕組んだ復讐劇の一部だったのかと思うようになった。

「ダーウィンの法則」
愛情が無くなったからベタベタしなくなるのではなく、ベタベタしなくなったから愛情が無くなるのだ。 つまり俺と女房の関係がそれなんだ、と英一は言う。
私は英一と付き合って、人間には文字通り「肌が合う」相手がいるということを知った。

「どれくらいの愛情」
惚れた相手が死んでしまったら、その思い出も全部同時に死んでしまうとよ。 どげん楽しか思い出も、その人が死んでしまった途端に悲しい思い出に変わってしまうとよ。

とても長い一冊なのだが、実は2回続けて読んだ。あとがきに至るまで。 彼の思想は深遠でとてもレベルが違うのだが、基本的なベクトルが自分と共通していると感じるので
非常に心に染みてくる。 あとがきまでも内容が濃くて深い。 数年前までの彼の作品はとてもダークでドロドロしたものだったが、作風が変わってきているのかもしれない。
ただし、今回のような比較的綺麗な作品も、ダークな作品も、彼が持つ深い思想を読者に訴えかけようとしている姿勢は変わらない。
★★★★★
「ドロップ」 品川ヒロシ
06年 リトルモア社 ¥1,400

「ヒロシへ 一週間も帰らずに何をしているの。 いくらあなたが悪ぶっていきがったって、まだ誰かの力を借りずには生きていけないのですよ。
ちゃんと自分の力で生きていけるようになってから偉そうな事を言いなさい。 冷蔵庫の中にからあげがあるから油で揚げて食べなさい」 − 母より
(’07/2)
ヒロシは「俺も不良になりたい。不良はやっぱ私立じゃなく公立だ」という馬鹿な理由で転校した。 新しい学校には達也というワルがいるらしい。
達也は昨日多摩川の川原で、他校生の手足を縛り、原付でひこうとしていたヤツだった。 「てめぇ、次よけたらマジでひくぞ!」 完全に矛盾だった。
よけなかったらひかれるのに「よけたらひく」ってめちゃくちゃだった。 めちゃくちゃなだけに恐ろしかった。 ヒロシは転校初日早々に達也に呼び出された。
不良中学生達の喧嘩に明け暮れる毎日を描いた小説。

芸人「品川庄司」の品川による小説。 劇団ひとりの小説と同様 軽い笑いを織り交ぜながら、特別凝った表現方法も使わずシンプルに話が進んでいくから、読みやすい。
最初から最後まで喧嘩喧嘩なんだけど、それを明るく書いてるし、不良といっても子供らしい純粋さとかかわいらしさがうまく表現されてるから 泥臭くはない。
まぁ特別オススメっかって言うと...どうでしょう。 小説というよりは漫画的な雰囲気。
★★★
「時生」 東野圭吾
02年 講談社 ¥752

かなりの数のミステリーを出版してる彼の本は一度読んでみたいと思っていた。
読み応えのありそうなページ数の多いコレを選んだ。
(’07/1)
不治の病を患う息子の最期を目前に、夫は妻に言った。 「実は俺はずっと昔にあの子に会ってるんだ。 あの子はこれから23歳だった俺に会いに行くんだよ。」

映画にしたら面白いかもしれないストーリーだった。 ただ、何十冊も出版してる作家としては意外だったのが、登場人物のキャラクター、感情表現に少々無理があることだった。
本って映像の無い単なる文字だから、感情移入したりその場にいるような臨場感を得るためには描写が自然でなくてはいけない。
「そんなヤツいねぇだろ」 とか 「普通そういうリアクションしないよな」 っていう部分があるだけで、現実に引き戻されてしまうわけ。
登場人物の無理がある態度、不自然な行動が ストーリーにのめりこむ事を度々邪魔した。 この一冊で彼の事は分からないし評価できないな。もう一冊、今度は短めのを読んでみよう。
★★★
「平面いぬ。」 乙一
00年 集英社 ¥590

短編小説4編
(’07/1)
目が合った人は石になってしまうという妖怪の話「石ノ目」。 友達と一緒に考えた空想の人物との3人の物語「はじめ」。
同じ生地から作られた5体のぬいぐるみ。でも最後の一体はあまった生地の寄せ集めで作られ不恰好で青い肌。作者はこれをブルーと名づけた「BLUE」
刺青店で中国人に刺青を入れてもらった。サンプル集を見て選んだのは凶暴な犬の絵。でも中国人は何を間違えたのか、かわいらしい犬の刺青を入れた。「平面いぬ。」

古い作品だから、やっぱり今の乙一とはだいぶ違う。 毒々しさはあまり無いし、読者をトリックに陥れるイリュージョンも無い。
でも彼らしさはしっかりとあるし、 色んな文体を持ってる事にやっぱり感心してしまう。
★★
「陰日向に咲く」 劇団ひとり
06年 幻冬社 ¥1,400

「落ちこぼれ達の哀しいまでの純真を愛と笑いで包み込んだ珠玉の連作小説」
「圧倒され心から泣かされた。お笑いブームなどはるかに超えた才能と可能性がある。」
「こんなに笑えて胸が熱くなって人間が愛しくなる小説に出会ったのは何年ぶりか。 文体のリズムをバランスも完璧。とにかく読んでみて、ぶったまげるよ」
(’07/1)
ホームレスに憧れて衣装を自作して公園生活を始めたサラリーマン、「夢はカメラマン」とデタラメを言ったが為にデジカメを買ったが使い方が分からない女、アイドルに全財産をつぎ込む男、
ギャンブルのせいで借金を抱え込みオレオレ詐欺を試しにやってみた男、売れない芸人に恋をし彼が売れるために自分が相方になった女、 全5編。

不器用で、寂しくて、みじめな人々を描き、微妙な笑いが織り込まれ、そしてどの話もどこかあったかい。 全ての物語に劇団ひとりらしさが溢れてる。 
この「陰日向に咲く」っていうのは、中の短編小説のタイトルではなく、小説の中の小節のタイトル。それを本のタイトルにするっていうのも面白い。
文章に難しい所は無くて、とても読みやすい。 大抵の小説は著者の知識の多さに感心させられるが、 知識をひけらかさなくても小説は書けるんだぁって変なところに感心した。
★★★
「きっと君は泣く」 山本文緒
93年 角川文庫 ¥520

(’07/1)
椿23歳。美貌に生まれた女に怖いものは無い。 しかし祖母がボケ、父が破産し、美人でも泣きを見る事を知る。
不倫、エイズ、など 彼女らしくとてもダークなテーマを取り上げ、ラストでは恐怖とも言える展開を見せる。 でも今回の作品はちょっと分かりづらかった。
★★